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背景・経緯

背景

産業構造の変化、グローバル化への対応

産業構造の急激な変化やグローバル化が進む中で、かつてない空洞化の危機を克服するとともに、国際競争力の強化など我が国経済社会の一層の発展を期すためには、 経済発展の先導役となる産業分野等への人材移動を円滑に進めるとともに、知識・技術・技能の高度化を図り、労働の付加価値を向上させることが不可欠である。

少子高齢化に伴う労働力人口の減少、雇用問題

少子高齢化に伴う労働力人口の減少※1や、平均所得の低下※2、将来の中間層となる若年者の非正規雇用層の増大※3や雇用のミスマッチなど、様々な雇用問題や将来の不安が生じている。持続可能な経済社会を実現するためには、成長分野における付加価値を付けた雇用の創出や、社会の幅広い人々が新たに必要となる知識・技術等を修得するための職業教育・職業訓練の機会の充実などの環境整備が一層重要となる。

若年者等無業者等増に対応する諸外国の職業と教育の評価の仕組み

諸外国においては、若年者・中高年無業者の増加等の社会的背景により、雇用の流動化を促進するため、イギリスの全国資格・単位制度(QCF:Qualifications and Credit Framework)等をはじめとする職業資格の枠組みや、高等教育資格枠組み(FHEQ:Framework for Higher Education Qualifications)等の認証制度※4が整備されている。

これらは、個人のキャリア開発の参考となるとともに、雇用者にとっては採用等における資格を標準化する手だてとして、さらに、政府や教育機関等の職業教育・訓練のための施策においては、達成目標の設定の手段として用いられている。

我が国の経済社会を支える分厚い中間層としての中核的専門人材養成

このような世界的動向も踏まえつつ、成長分野等における中核的専門人材養成においては、我が国の経済社会を支える分厚い中間層を育成するため、産業構造の変化や グローバル化に対応した新たな知識・技術・技能を備え、重要な役割を果たす専門人材を、量的のみならず、質的な観点から戦略的に確保する新たな学習システムの構築を目指す。また、若者、女性、高齢者等の学びや職業を通じて活躍できる全員参加型の社会の実現を目指す。

検討の経緯

新成長戦略における位置づけ

平成22年6月18日に閣議決定された「新成長戦略」の「雇用・人材戦略」においては、産業構造の変化に対応した成長分野等を中心とする実践的な能力等の養成を推進することが指摘された。また、21世紀の日本の復活に向けた21の国家戦略プロジェクトにおいては、離職者等が新たな職業能力や技術を修得し活躍する「トランポリン型社会」を目指し、若者等でまとまった時間が取れない人やリカレント教育向けの「学習ユニット積み上げ方式」の活用※5や、「実践キャリア・アップ制度」※6と専門学校・大学等との連携による学習しやすい効果的なプログラムの構築を図ることが求められた。

日本再生の基本戦略における位置づけ

また、平成23年12月24日に閣議決定された「日本再生の基本戦略」においては、分厚い中間層の復活(社会のフロンティアの開拓)を目指し、我が国の経済社会を支える人材養成の方策として、産学官の連携・協力による中核的専門人材養成などの職業教育の充実が指摘されている※7

このような決定に基づき、平成23年度においては、今後成長が期待される各分野等において、実践的・専門的な知識・技術・技能を備え、我が国の経済社会の中核を担う専門人材養成を戦略的に推進するための具体的な方策の調査・研究を行い、今後の方向性をとりまとめた。

学びと職業を両立し自らの職業能力向上を目指す社会の実現

経済社会のニーズを的確にとらえ、効果的な専門人材養成を推進するため、産業界・職能団体等と多様な教育機関との連携強化を図りつつ、個々人が、自らの希望する多様な職業生活に必要な知識・技術・技能を生涯にわたって継続して修得し、職業能力を向上できるよう、「学校」と「職場」間の円滑な選択・移動が可能となる学習システムの在り方等を検討し、次年度以降の取組に活かすこととする。

我が国の高等教育機関における社会人学生の比率はOECD諸国に比べても低い※8ことから、本検討においては、高等教育機関において、①産業の高度化やグローバル化に伴い新たに必要となる知識・技術・技能を修得する機会の提供、②非正規労働者・離職者等の新たな職業能力や技術を修得する機会の提供、③中退者等の学び直しへの対応等を具体的に想定した社会人等がアクセスしやすいシステムの構築を目指す。

このような具体的な取組を通じて、新成長戦略で指摘された成長分野等における実践的な能力等の育成や人材の円滑な移動を促進する。

※1 厚生労働白書《参考資料3頁》
※2 国税庁「民間給与実態統計調査結果」資料より作成 《参考資料13頁》
※3 厚生労働省「就業構造基本統計調査2007」、総務省「労働力調査」等より作成 《参考資料10頁》
※4 諸外国の学修成果・職業応力の認証・評価制度《参考資料42頁》
※5 「新成長戦略~「元気な日本」復活のシナリオ~」(平成22年6月18日閣議決定)《参考資料65頁》
※6 「実践キャリア・アップ戦略」について《参考資料62頁》
※7 「日本再生の基本戦略」(平成23年12月24日閣議決定)《参考資料92頁》
※8 OECD各国の職業教育関係の高等教育機関への進学における25歳以上入学者の割合は約17%(OECD平均39.8%)、大学における25歳以上入学者の割合は2%(21.1%)となっている。《参考資料18,19頁》