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これからの方向性

具体的な取組の方向性

各分野コンソーシアム実施体制

各成長分野における取組を先導する産学官コンソーシアムを組織化し、産業界のニ ーズを踏まえた人材養成策の策定、各分野における教育の質保証の仕組みづくり、社会人等が学びやすい学習システムの導入(「学習ユニット積上げ方式」によるアクセスしやすい学習環境の提供等)等に係る調査研究を行う。

各分野の産学官コンソーシアムは、当該成長分野における新しい知識・技術・技能に関するニーズを明確化し、中核的専門人材として求められるマネジメント能力等を想定した体系的な学習ユニット積み上げ方式の枠組み等を検討する。

参考:23年度の分野コンソーシアム
環境・エネルギー、食・農林水産、医療・福祉・健康(介護福祉、スポーツ)、クリエイティブ(ファッション)、観光、IT(クラウド、ゲーム・CG、自動車組み込み、携帯・スマートフォン)

実施体制は、全国的な活動となるよう、専修学校、高等専門学校、大学等の教育機関、経済団体、企業、職能団体、関係施設、その他関係機関による広域的な連携体制を整備し、具体的な取組を共同で実施することとする。

平成24年度以降は、これまでの検討を踏まえ、各コンソーシアムの下で必要に応じて異なる職域プロジェクトを設け、社会人等の実践的な職業能力を育成する効果的な学習体系の構築や各分野における職業実践的な教育の質の保証・向上に資する取組の推進の具体的な取組例を中心に実証を行う。実証作業後は、コンソーシアムにおいて分野全体の評価を行い、当該分野におけるモデル的な取組をとりまとめ、全国に普及する。

具体的な取組例

産業界等のニーズを的確に捉え、個人の学習成果が社会で生かせるような学習システム構築を目指し、次のような具体的な取組を実施する。

成長分野の人材養成を巡る様々な課題についての研究協議

育成すべき人材像の設定と人材養成の課題の明確化

実践的な知識・技術・技能及び問題解決能力や応用力など産業界等が求める能力や資質を体系的に把握

我が国における社会的要請や、政策課題との関係性

社会人等の実践的な職業能力を育成する効果的な学習体系の構築

社会人等向けの短期教育プログラムの開発・モジュール化の促進や、これらの教育プログラムの積み上げにより正規課程の修了につなげることのできる仕組み(学習ユニット積み上げ方式)の構築

  • 経済団体、企業、職能団体、関係施設、専修学校、高等専門学校、大学等教育機関、職業訓練機関等が参加する「学習ユニット積み上げ方式」の試行導入
  • 企業等から提案のある課題に取り組むプロジェクト学習や、PBL(Project-Based-Learning)などを活用した、知識・技術・技能を体系的に学習ユニットとして開発
  • 企業人や離職者向けの短期教育プログラムの開発・モジュール化した学習ユニットの開発
  • 短期講座等の正規課程上の位置づけ付与
  • 履修証明・単位互換等の活用促進による多様な学習ユニットの開発

社会人等の多様な学習形態に則したe-ラーニングや学校の通信制を活用

質の高い学習ユニットを提供するための教職員の資質向上等に向けた取組

  • 新たな知識・技術・技能を反映したカリキュラム開発、学習者のキャリアパスが描けるような教育課程の編成方法、学習者の達成度評価方法など教育内容・方法改善のための複数校の連携による研修・研究
  • 企業等と複数校の連携による教員の資質向上等に向けた組織体制整備

キャリア段位制度やジョブ・カード制度との連携やキャリアコンサルタント等の積極的な活用

各分野における職業実践的な教育の質の保証・向上に資する取組の推進

学習者が修得した知識・技術・技能が社会で評価・認知され、就業や社会参加等の場面で生かされるための評価の仕組みを構築

  • 共通的な到達目標や各分野で求められる知識・技術・技能に関するモデル・カリキュラム基準、達成度評価指標・手法(ユニット履修評価・ポートフォリオ評価・企業評価等の実証等)の開発※1
  • 教育機関・産業界等のインセンティブとなる成果の把握・分析・評価のあり方

複数の教育機関、経済団体、職能団体等が参画するコンソーシアム等の第三者による組織的な教育活動の評価体制構築
※具体的な評価の在り方等については、引き続き検討を行う。

事業終了後の成果等のフォローアップ体制や、他の教育機関への波及効果を高める仕組みの構築

各コンソーシアムの検討を踏まえた今後の取組の方向性は次のとおり。

環境・エネルギー分野

環境・エネルギー分野における太陽光をはじめとした発電技術、供給システムのスマートグリッド、家電など端末機器の省エネ技術や省エネシステム等、今後成長を続け、その需要も拡大していく可能性が高い分野において、経済団体や個々の企業、研究機関及び教育機関が蓄積した知識・技術・技能等を基に、横断的に把握・考察できる人材(環境をアセスメントしコーディネート、プロデュースできる人材)を養成する。

例えば、複数の教育機関と産業界の連携の下、建築・土木、電気・電子、情報・通信、自動車等の有資格者が、専門的な知識等を基礎に、省エネ、温室効果ガス削減のためのコーディネーターや、新エネルギーシステム導入のプラン作成、メンテナンス等の運用支援等を行う中核的専門人材を養成する。

食・農林水産分野

マーケティング力やマネジメント力等を持つ高度アグリビジネス人材(食の6次産業化プロデューサー等)を養成するため、①大学、専修学校、農業大学校、専門高校等教育機関と、JA、流通関係企業等の連携による産学官コンソーシアムを組織化し、②それぞれの強みを活かしつつ、モデル・カリキュラム基準、達成度評価指標等を開発、③食・農分野におけるキャリア段位制度の確立に向けた教育プログラムの開発に取組む。

その他、①地場産物の農産物に付加価値をつけて加工・流通までをマネジメントする農業生産者、②調理等を通じて付加価値を高める専門人材、③食と農を軸にツーリズムへ結びつける人材の養成などが期待される。

医療・福祉・健康分野(介護福祉)

社会福祉士及び介護福祉士法の改正による医療施設等と連携する能力や、健康維持・向上の観点から健康分野とのコーディネート能力を備えた人材を養成するため、社会的要請の高い介護分野を中心に、福祉人材の質向上や、医療・健康分野との連携に必要な知識・技術・技能等を含めた中核的介護人材等を養成する。

福祉現場と教育・実習機関等に調査を行い、福祉人材スキル標準とキャリアマップ策定、介護人材養成プログラムの開発、評価等の学習システムを構築する。

その他、アジア等諸国においてニーズが高い、福祉・医療技術者養成について、関係企業等との連携による国際的な質保証の枠組みの中で戦略的な専門人材を養成すること等が期待される。

医療・福祉・健康分野(スポーツ)

「スポーツ基本法」の趣旨に則り、健康大国・スポーツ立国の推進に貢献する中核的専門人材(①各スポーツ現場で共通的に活躍するスポーツトレーナー、②総合地域スポーツ施設で必要とされる人材、③障害者スポーツの支援人材)の養成と資質向上を図る。

本事業では、大学、関係企業、実習先等のスポーツ団体との連携の下、健康サービス分野(スポーツ・フィットネス業界)に従事する専門人材の人的ニーズや能力要件等に関する調査研究を行い、その結果に基づき、専門人材の「職業能力評価基準」、達成度評価等を開発し、新たな学習システムを構築する。

クリエイティブ分野(ファッション・デザイン等)

日本の近代化とともに発展してきた繊維産業が、中国を中心としたアジア諸国の急速な発展・追い上げに対応の変化が迫られている中で、今後成長が大いに見込まれるファッション分野においてグローバルな視点に立った専門人材養成を行う。

産学コンソーシアムを組織化し、クリエーション、ファッションビジネス、グローバルビジネス、社会人教育の観点から、時代・環境の変化にも即応できる中核的専門人材を養成する学習システムを構築する。

その他、アジア、欧米諸国においてニーズが高く、国際的な質保証の枠組みの中で戦略的な対応が求められているアニメや、理容・美容分野等における中核的専門人材の養成も期待される。

観光分野

今後成長が見込まれる、中国をはじめとするアジア市場からの訪日旅行促進を支えるために必要とされる専門人材を「旅行分野(旅行業)」「宿泊分野(ホテル・旅館等宿泊業)」「運送分野(航空・鉄道・バス等運送業)」に分類し、企業、業界団体、大学、専門学校の連携の下、それぞれに必要とされる知識、技術、技能等を備えた中核的専門人材を養成する。 また、地域振興方策やニューツーリズム※2の開発等への対応としての学習ユニットを開発・提供し、中核的専門人材養成を通じて観光産業の付加価値を高める。

これらの教育到達目標、達成度評価指標、教育内容のモジュール化についてキャリア段位制度やジョブカードと連動させた新たな学習システムの基盤を構築する。

IT分野(クラウド、ゲーム・CG、携帯・スマホ、自動車組み込み)

クラウド技術と融合した新たな業務領域形成により成長が期待されるIT分野の中核的専門人材養成について、求められる能力や資質の体系的な把握、モデル・カリキュラム基準の策定、教育のモジュール化の活用、組織的な教育活動の評価の在り方等を企業・業界団体・大学等と連携して研究協議する。

特に、海外市場が拡大しつつある、クラウド、ゲーム・CG、自動車組込み、携帯電話・スマートフォン組込み等の成長が見込まれる分野において必要な知識・技術・技能を体系的にまとめ、グローバル市場にも対応する新たな学習システムの基盤を構築する。

社会基盤整備分野

平成23年12月24日に閣議決定された「日本再生の基本戦略」においては、我が国経済社会を支える分厚い中間層の復活を目指し、産学官が連携・協力しながら成長分野とともに、ものづくり分野における職業教育の充実が指摘された※3

同決定や新成長戦略等を踏まえ、特に、都市・地域のインフラ再生、自然災害対策、都市交通等の社会基盤整備・運用や、我が国の高度なインフラ技術をパッケージで海外に展開する中で、特に専門的技術者として土木・建築等を基礎とする中核的専門人材の養成が期待される。

このような社会基盤の整備・運用の分野において、新たに必要となる知識・技術・技能やグローバル化に対応する中核的専門人材養成を推進するため、平成23年度の分野に加え、社会基盤整備分野を構成し、建築・土木等の職域における新たな学習システムの構築が期待される。

各分野コンソーシアムの職域プロジェクト

産業界等のニーズが高い職域において、様々な教育リソースを有する複数の教育機関、企業、関係団体等との連携の下、それぞれのニーズを踏まえ策定するモデル・カリキュラム基準、達成度評価指標・手法等を一体的に実証する。また、これらの成果は公開し、各教育機関等において活用されるよう全国に普及する。

学習成果が地域の職業生活等で適切に評価・活用されるよう履修証明制度やジョブ・カードの活用等を促進する。

教育機関、産業界、職能団体等との連携強化

学習者の視点に立ち、学習者自らのキャリアパスを描けるような学習システムの構築を目指し、関係府省、産業界、職能団体等の連携強化を図り、経済社会のニーズに即応した職業教育の機会充実を図る。

専修学校・大学・職業能力開発校等と地域の産業界が連携した地域のコンソーシアム等において、地域の雇用創造、産業振興への貢献、グローバル化への対応等に資する多様な学習機会の提供を促進する取組を支援する。

多様な質の高い学習機会を充実するため、複数の教育機関及び関係機関等の連携による、それぞれの強みを活かした明確な目標設定、取組の成果評価、取組の結果明らかになった課題等を新たな取り組みに反映させるPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルの実践によって、継続的な改善を図ることが期待される。

産業界等においては、必要な中核的専門人材を養成するため、教育機関等と共同で学習システムを構築するに当たり、コンソーシアム等の参画を通じ、産業界等のニーズに応じて新たに求められる知識・技術・技能等の提供等の協力が期待される。

横断的課題

グローバル専門人材

国際機関や欧米、アジア諸国等の国際的な職業教育の動向を踏まえ、特にグローバル化対応が求められているIT、クリエイティブ分野等におけるグローバル専門人材養成を戦略的に推進するため、産学官の連携の下で、一つの専門学校等教育機関では対応が困難な国際的な質保証を伴う双方向交流を促進するための取組を支援する。

また、円高の進行や海外市場の拡大に伴い、国際化に対応するため中小企業等において採用のニーズが高いアジア諸国等の外国人留学生への支援の在り方や、グローバル化対応に向けて必要な、日本人の生徒・外国人留学生が専門性を基礎とする国際的視野を身につけ、語学力・コミュニケーション能力※4を修得できる学習ユニット等の在り方について、引き続き、検討する。

国際的な職業教育の質保証を伴う交流においては、海外の学校との単位互換や企業における海外インターンシップ、教員交流など相互交流の具体的方策や、そのために必要な枠組みづくりについて、課題・ノウハウを共有する。このため、産学官の連携による国際的な質保証のためのコンソーシアムを形成し、調査研究を実施するとともに、必要に応じて、各分野の取組においても活用する。

知財対策

各分野に共通する課題として、基礎的な知的財産を理解し、対応することができる各分野の特性を踏まえた基礎的な知財教育を積極的に取り組む。特に、IT、クリエイティブ分野等におけるグローバル化に対応するための取組を支援する。

成果普及

各コンソーシアム等の成果については、公開し、教員の資質向上や産業界等との連携による実践的なモデル・カリキュラム基準の開発や、達成度評価の開発等の取組など、教育の質の保証・向上における取組に活用されるよう成果の普及に努める。

このため、モデル・カリキュラム基準に則した教育プログラム、教材、達成度評価の手法等の資源の共有化を促進するための環境整備や、全国規模の情報交流の場の提供、インターネット等を通じた情報提供を支援する。

多様な遠隔教育等の活用

社会人等においては、実践的・専門的な知識・技術・技能等を修得するためのニーズが高い一方、学習と仕事を両立するための時間的・空間的な学修環境が課題※5となっている。このため、社会人等の多様なライフスタイルに即し、働きながらスキルアップを図るためのe-ラーニング等や学校の通信制を積極的に活用した学習システムの構築を支援する。

被災地の復興を担う専門人材

産業界等と教育機関等の連携により、被災地のニーズに応じた復興の中核を担う専門人材養成を支援する。被災地域の復旧の状況に配慮しつつ、被災地以外の教育機関、企業等からの協力を得ながら、特に、再生可能エネルギー、自動車・家電、食・農林水産業等の新たな雇用の創出につながる分野での取組や人材が不足する福祉等の分野での取組を積極的に支援する。また、被災地の復興を担う専門人材養成の取組を、我が国の先進事例として推進する※6

※1 大学・専門学校等の達成度評価の例《参考資料58~61頁》
※2 ニューツーリズムとは、エコツーリズム、医療ツーリズム、ロングステイ、文化観光等やMICE(会議・研修・セミナー、国際会議、展示会等)。
※3 「日本再生の基本戦略」(平成23年12月24日閣議決定)《参考資料92頁》
※4 政府のグローバル人材育成会議の中間報告(平成23年5月)においては、グローバル人材の概念に「要素Ⅰ:語学力・コミュニケーション能力」、「要素Ⅱ:主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感」「要素Ⅲ:異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー」が指摘されている。《参考資料 107頁》
※5 (参考)社会人の学修に対するニーズ≪参考資料15、16頁≫
※6 平成23年度第3次補正「復旧・復興における専門人材育成事業」≪参考資料119~141頁≫